9人が本棚に入れています
本棚に追加
「しくしく……しくしく…」
「おや、どうしたんだい?」
随分大きなナマズ髭を持つオッサン顔の少年が、顔を隠すことなく泣いている。
「儂の敬愛する穴近田 菩阿(あなこんだ ぼあ)先輩の褌が見つからんのじゃ……儂が手洗いをしようとカゴに入れてあったと言うのに…」
「普通の褌なのかい?例えば、金糸で龍が施されているとか……」
「そんな化粧まわしのようなのではござらん!色はやや年季が入って黄ばみはしているが、ごくごく普通の褌!特別値がはるような代物ではない」
少年はまた『うご~!』と泣き始める。
最初のコメントを投稿しよう!