第一章・ーのぞいたー

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 ーーまただ。また少し、ほんの少しふすまが開いている。  ここは古い家屋だから、あちこちにがたがくるのは当たり前なのだ。  その度に、自分で出来る修理ならば四苦八苦しながらもそうしている。  だけどあれは違うな。  建物が水平であるのは何度か機器を使って調べてあるし、蝋などを塗り滑りが良すぎるから自然と開く訳でもない。  そこから先には電気も点けない廊下が待ち構えているのだろうが、夜などは暗闇が広がりそこに何かいるのではないか、という恐怖が頭を占めて止まない。  だから気付いたら閉める。だけど気付いたら開いている。  この繰り返しで、さすがの私も最近では面倒になってきているのだ。  もう開いていようが閉まっていようが、どちらでも良く気付いても無視するようにはしている。  覗くのも何だか怖いし、何かあっても逆に怖い。
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