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そうして何日も何日も開いたまま無視していると、今度は奇妙なモノが視界に入る。
……何だ。アレは?
例によって少し開いたふすまの向こうから、何かが出てきた。
多分あれは小袖。誰か人間の腕だと言うべきか。とにかく小袖から伸びるか細い腕が、ふるふると震え存在を主張しているのだ。
何だ。……あそこにあんなの、入れたっけ?
何で入った? んん? 残念ながら、記憶にはない。
部屋を出て台所へと赴き菓子と茶を用意して戻る。
すると、腕はまだそこからにょきりと出ているままであったから、菓子を口にして茶で喉を潤しながら考える。
ーーあれは何だったかなぁ。
菓子をまた口にして、小袖に目を凝らすが私が所有する衣服にそんなものはない。
だからまた放っておく事にする。
細かい事など、考えるだけ時間の無駄というやつだろう。
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