第一章・ーのぞいたー

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 そうして何日も何日も開いたまま無視していると、今度は奇妙なモノが視界に入る。  ……何だ。アレは?  例によって少し開いたふすまの向こうから、何かが出てきた。  多分あれは小袖。誰か人間の腕だと言うべきか。とにかく小袖から伸びるか細い腕が、ふるふると震え存在を主張しているのだ。  何だ。……あそこにあんなの、入れたっけ?  何で入った? んん? 残念ながら、記憶にはない。  部屋を出て台所へと赴き菓子と茶を用意して戻る。  すると、腕はまだそこからにょきりと出ているままであったから、菓子を口にして茶で喉を潤しながら考える。  ーーあれは何だったかなぁ。  菓子をまた口にして、小袖に目を凝らすが私が所有する衣服にそんなものはない。  だからまた放っておく事にする。  細かい事など、考えるだけ時間の無駄というやつだろう。
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