第一章・ーのぞいたー

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 それからまた何日も過ぎる。  開いたままのふすまも、そこから伸びるか細い小袖も、私の中では既に部屋のオブジェクトと化している。  段々と鼻につくようになってきたが、フレグランスを置き気分を一新し、そうして少し落ち着いたら今度は違う事が気になってきた。  ……あの腕は、少しずつ地面に落ちてきているな。  支えるだけの力がなくなってきているのだろうか? 何故かは分からない。何だ? 得体の知れないモノも、活動エネルギーになるものが必要だとでも言うのだろうか。  心配になってきて、ふすまの向こうを覗く決意をする。  廊下が広がっているだけだと思いたい。だけど違うと知っている。だから小袖はふすまの向こうから誘っているのだ。  いつの日か私がふすまの向こうを覗き込むように、そうして愚かにも正体を探ろうとして欲しいのだ。  ふすまの中は、ふすまの向こうは、ああそこはただの押し入れ。
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