銀月の夜

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   正面は避け、側面に回りこむ。窓から侵入し、そのまま寝首をかくのだ。  暗殺するのに綺麗だ汚いだのは言ってられない。結果だけが全てだ。  オルテシアが泊まっているのは二階だった。どうやら二人部屋しか取れなかったようで、仲間の二人は別の部屋に泊まっている。依頼の内容はオルテシアを殺すことだ。三人同時に相手にする必要はない。  二階へ飛び移ったオレは、窓の隙間から短刀の切っ先を差し込む。木製の蝶番を瞬時に切断した。  音を立てず窓を開き、体を部屋の中へ滑り込ませる。ここまでは順調だ。  オレは夜目が利く。部屋は暗かったが、問題なく様子が伺えた。  二人部屋らしくベッドが二つ置かれている。片方は空っぽだ。もう片方は誰かが寝ているようで布団が膨らんでいる。  足音を立てずにそっと近づく。ベッドに寝ていたのは綺麗な銀色の髪の女性だった。  こいつが銀の騎士オルテシア……間違いない。  昼に尾行した際に顔を確認しているから間違えようがなかった。オレは何度もこの女性が仲間からオルテシアと呼ばれていたのを耳にしている。  
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