銀月の夜

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   オレの尾行がバレていただと……!?  そんなはずはない、と言いたいところだったが現にこうして攻撃をかわされてしまったのだ。事実は受けとめるしかない。 「ふふふ、気づいてないとでも思っていたのか? 迂闊だったな。お前の狙いはわかっているぞ、少年……!」  オルテシアはビシィ!と指をオレに向け、 「さては私に惚れてしまったな!? そうであろう!」  ………………はい?  予想外すぎる答えに、オレは思わず短刀を落としそうになった。  危ない危ない。 「惚れたって……なに? オレが? あんたに?」 「あぁ! これが噂の夜這いという奴だろう? 叶わぬ恋を強引に叶えようとする方法だと聞いている。つまりお前は私に身分違いの恋をしてしまい、その気持ちを伝えるためにここに来たのだ! そうだろう、そうだろう」  オルテシアが勝手に一人で盛り上がっていく。  なんだろう、こいつ。  確かに美人なんだけど、なんというか……めちゃくちゃ残念な奴なんじゃないか?  
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