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「安心しろ、少年! 確かに私は貴族の生まれだが、今はほとんど家出しているようなものだし、身分差など気にはしない。さぁ、思い切って胸の内をぶつけてみるがいい!」
と言って、オルテシアは大きく腕を広げる。もしも飛び込んでいったらそのまま絞め殺されそうな勢いだ。
「いや、この短刀を見ればわかるだろう。オレがなにしにここに来たか」
オレはわざと短刀の刃を月の光に反射させて見せる。
「なるほど、そういうことか……」
オルテシアは部屋の端に立てかけてあった剣と盾を手にした。盾を装備している辺り、どうやらこいつは名前の通り『騎士』の職業〈クラス〉のようだ。
「私に決闘を申し込み、力づくで愛を奪ってゆこうというのだな!? うむ、強引なやり方だがそれも一興。勝った方は負けた方に一つだけなんでも言うことをきかせられる、という決まりでどうだ?」
あぁ、もう! なんだかこじれてちまったけど、これで一応戦う流れにはなった。戦って勝って、殺してしまえば結果には変わりはない。
過程はどうでもいい。結果だけが。結果だけが全てなのだ。
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