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オレはもう一方の手にも短刀を握り、両手に刃を構えた。
これがオレの戦い方だ。手数と速さで斬撃を展開する。防御に優れているだけで鈍重な騎士には負けはしない!
「行くぞ……後悔すんなよっ」
「来い、少年よ!」
オレは駆け出すと、一気にオルテシアとの間合いを詰めた。
左の刃を直線で繰り出し動きを牽制すると、弧を描くようにして右の刃を振るう。
盾が動いた。
まるでオレの短刀の軌跡がわかっていたかのように盾は刃を払った。金属と金属がぶつかる甲高い音が暗闇に響いた。
盾の扱いには驚いたが、ここまでは予想内だ。次は右、左と連撃を放つ。盾は一つだ。防ぎきれるはずはない。
「ふふふ……! 甘いぞ、少年」
だが、オルテシアの盾は最短の距離で動いてオレの短刀を防いでいく。まるで数人の騎士を同時に相手にしているようだった。
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