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盾が強く前に突き出され、体勢が崩れてしまう。
そこを狙ってオルテシアが左手に持った剣を横薙ぎに払う。
オレは身を引いて距離を取るしかなかった。
「なかなかの動きだ。その身のこなし……やはり私に求婚してくるだけあって、ただ者ではないな」
なんか話が変な方向に発展してないかっ!?
まぁ、いい。
ただ者ではないって? そりゃそうさ。
オレがこの身のこなしをどこで身に付けたか。そんなことあんたには一生わかりっこないだろうさ。
良家に生まれ、勇者として剣を振るう、光の道を歩くあんたには。
地べたを這いずり回って生きてきた男の気持ちなどわかりはしないだろう。
オレはただ……誰かの指示通りにこの刃を振るうだけだっ!
緩急をつけた陽動を交える。だが、そのことごとくが盾に弾かれる。
焦りがオレを支配し始めていた。
攻撃が全くといっていいほど通じない。
鉄壁。
まさにその言葉がこいつには似合う。どうやらオレはこいつのことを少し舐めていたみたいだ。
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