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「ごめんね、砂雪。父さんも母さんもここに居ることが出来る時間はもう無いんだ。」
ディーリスには見えなくとも気配で砂雪が息を飲んだ事が分かった。
「……また、会える?」
感情を抑えるような声だった。おそらく砂雪はコル・フォルトの答えを正しく予測しているのだろう。それでも尋ねてしまうのは一縷(いちる)の望みを捨てきれないからだ。
「今回の件はかなり無理を押してやってるんだ。僕は本来人と接触することはない存在だからね。」
「うん。」
「雪華さんもそう。砂雪の傍には居ることは出来ない。」
「……うん。」
声が震えている。ディーリスは砂雪が泣いてないか気になるが、やはり見えるのはコル・フォルトの背中だ。体をずらしても背中に目でも付いているのか阻害される。さすがにこれには苛立った。
「だから、これからはディーリス君を頼りなさい。いいね?」
自身の名が出たことにディーリスの動きが止まる。
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