十六、転生者は幸せな現を見る

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「ごめんね、砂雪。父さんも母さんもここに居ることが出来る時間はもう無いんだ。」  ディーリスには見えなくとも気配で砂雪が息を飲んだ事が分かった。 「……また、会える?」  感情を抑えるような声だった。おそらく砂雪はコル・フォルトの答えを正しく予測しているのだろう。それでも尋ねてしまうのは一縷(いちる)の望みを捨てきれないからだ。 「今回の件はかなり無理を押してやってるんだ。僕は本来人と接触することはない存在だからね。」 「うん。」 「雪華さんもそう。砂雪の傍には居ることは出来ない。」 「……うん。」  声が震えている。ディーリスは砂雪が泣いてないか気になるが、やはり見えるのはコル・フォルトの背中だ。体をずらしても背中に目でも付いているのか阻害される。さすがにこれには苛立った。 「だから、これからはディーリス君を頼りなさい。いいね?」  自身の名が出たことにディーリスの動きが止まる。
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