バスの後列から2番目、窓側の君

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桐谷 純(キリヤ ジュン)18歳。 都内の公立高校に通う3年生。 4月30日の今日、私は無事18歳を迎える事が出来た。 何故『無事』なんて大袈裟な表現をするのかというと、私は生まれたときから体が弱いから。 心臓に疾患を持って生まれてきてしまった私。 身体障害者の手帳も交付されている。 子供の頃は大きな手術を2回、それから学校が夏休みや冬休みの長期の休みに入ると、よく入退院を繰り返していた。 幼い頃は自分の病気の事なんて詳しくわからなかったし、知ろうとも思っていなかったけれど、さすがにもう今は完全に把握している。 日常生活は、子供の頃に受けた手術のおかげで問題なく送れるようになった。 けど今でも、走ったり過度な運動は医者から禁止されている。 あと心臓がドキドキするような場面に立ち会うと、動悸や発作を起こしてしまう。 だから、発作薬はどんなときでも必ず常備していないといけない。 自分では何ともない、周りの子と一緒なんだと思っていても、結局毎回発作を起こす度に同じ疑問が頭をよぎるんだ。 ……私は、欠陥品なの?…と。
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