バスの後列から2番目、窓側の君

4/21
前へ
/23ページ
次へ
でもそんな事思っていても、周りの人には自分の本心は絶対に口にしないと決めている。 もちろん、友達にも、家族にも。 欠陥品なんだと言ったところで、何にもならないってわかっているから。 『欠陥品なんかじゃないよ』 『自分の事、そういう風に言うのはやめなよ』 『悲劇のヒロインぶってるんじゃない?』 病気の人に愚痴を言われたって、健康な人は内心困り果てるだけ。 …互いにとって、何のプラスにもならない。 むしろ、自分の病気の愚痴を他人に言えば言う程、周りとの心の距離が遠ざかっていく気さえしてしまう。 病気を抱える苦しさを理解してくれる人は周りにはいない。 病気を患っている人の苦しみをわかってあげられるのは、同じ苦しみを抱えている人だけ。 唯一、ママだけは私の苦しみがどれだけのものかわかってくれている。 ママも、幼い頃から心臓の病気を抱えてきた人だから。 パパから聞いた話だと、ママは24歳の頃に大きな心臓手術を受けた。 手術が失敗すれば、確実に生き延びる事は出来なかったらしい。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10331人が本棚に入れています
本棚に追加