Act.1 飛電

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「----ほんで結局、オレも殺すんか」  悔しいのか、怒りなのか、恐怖なのか。  声を震わせながらもオレを睨み付ける彼の言葉を、否定も肯定もせずに。 「----オレは」 「……なんや」 「お前に撃たれた」 「--------ぇ?」 「反撃されて、仕方なく引いた」 「……な、に……?」  訳が分からないという顔をする彼に、ニヤリと笑って見せたら。  銃口を、自分の左肩に向けた。 「----っ、ちょっ、待て!」  慌てる彼が、おかしい。  パン、という軽い音と衝撃の後で、熱が左肩に集まって、ドクリドクリと2つ目の心臓が出来る。  ポタリ、と落ちた赤い雫を見た彼が、呆然としながらも痛そうな顔をするのを笑って。 「----じゃあな」  痛みは、感じないように訓練されている。  銃をホルダーにしまったら、左肩はすぐに止血。  去り際に彼の声が聞こえて、そのセリフのお人好しさを、笑うしかなかった。 「----------------あり、が、と……」 『オレはお前に撃たれた』  無表情な彼は、そう言って自分自身に向けて引き金を引いた。  何が起きたのか全く理解できなかったけれど。  朱色の雫を零して、バタバタと走り去った彼が、自分を助けてくれたのかもしれないと。  気づいた瞬間に声が零れていた。 「 ----------------あり、が、と…… 」  バカバカしいかもしれない。  家はめちゃくちゃ。洋樹だって殺されて、自分も左足に傷を負ったのに。  金のために洋樹を殺したと、言い切った男に、礼を言うなんて。  それでも、彼が自分を助けてくれたことには、変わりないのだ。  彼の足音が遠ざかるに従って、足の震えが酷くなって。  ずぶずぶと床にへたり込んで、ようやく左足の痛みを自覚する。  そして何より。 「ひろき……」  血溜まりを思い出して、這うようにして洋樹の元へ。
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