Act.2 零了

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 オレを殺すために寄越されたという男を、彼が森の奥へと担いでいった後。オレはまた、あの時と同じようにその場を清めた。  意味はないのかもしれないと思いながらも、その場で祈りを捧げ----そして、懺悔した。  彼を、責めきれずにいる自分を。  神に、そして、----洋樹に。  洋樹を殺されたことを憎いと思い、そして悔しく哀しく思っていることも事実なのに。  幼い頃のあめ玉の恩を、律儀に覚えていて、そして今になってオレを守ってくれるという彼を、どうしても恨みきれないのだ。 (ごめんな、洋樹……)  胸に下げている十字架は、オレが祈りの詞を覚えた時に、洋樹からもらったものだ。  今は少しだけ重いそれに、触れられないままで、そっとその場を離れた。
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