第10章 ヤキモチ

5/26
前へ
/406ページ
次へ
壁にもたれて練習を見ていたら、何だかうとうとしてきた。 _あ! 首がカクっとなってプリントの事を思い出した。 _土日でやってこいって出された物理の課題プリントがあったんだった。 今のうちに終わらせちゃおう。 鞄から課題プリントと教科書、筆記用具を出して床に広げた。シャーペンを持ってペタンコ座りのまま前かがみになった。 _よしやるぞ!! ヤル気を出して始めたはいいけど、中々進まない。教科書の同じページを何度見たか分からない。プリントは半分も進んでいないのに、時間は思ったよりも経っていた。 「これ教科書のどこに載ってんのー?」 つい独り言が漏れる。 _だめだ頭が働かない。 ちょっと休憩しようと手を下に敷いてプリントの上に突っ伏した。 さっきより振動を感じる。 ボールの振動で微かに体が揺れて、その揺れが段々と心地よくなってきた。静かすぎるより、騒がしい場所の方が落ち着く。一人じゃないんだって思えるから、賑やかな場所は好き。 目を閉じるとみんなの声やバッシュの擦れる音、ボールがリングを通った時の音が良く聞こえる。 昨日もたくさん寝た筈なのに段々と瞼が重くなってきた。 _勉強してると急激に睡魔に襲われるから不思議……。 そんな事を考えていたら、いつの間にか夢に引きずり込まれていた。
/406ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加