第1章 新たな生活

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「あたし、冴島 愛(さえじま あい)。 宜しくね!」 「うん、宜しくね。」 隣の席の子が声を掛けてくれた。健康的な少し焼けた肌に、長い髪の毛をオールバックのポニーテールで纏めている冴島さんは、見るからに活発な感じがした。 「あたしの事は愛でいいから!」 「私の事も心って呼んでもらえたら嬉しい。」 「呼ぶ呼ぶ?! ってかさ、海外って何処に居たの?」 「ニューヨークだよ。」 「ニューヨーク!?」 「冴島さん! 色々気になるのは分かるけど、質問はHRの後にしなさい!」 先生に注意された愛は「ゲッ」と声を漏らした。その瞬間クラスは笑いに包まれた。その雰囲気につい私まで笑ってしまった。ギスギスした雰囲気もなくて、みんないい人そうで安心した。 HRが進むにつれ、緊張は薄れていった。先生の話に耳を傾けながら窓の外へと目を向けた。 _本当に戻ってきたんだ。 今頃になってそう実感した。高校二年生の春、私はここからまた新しい生活をスタートするんだ。 柄にもなく物思いに耽っていると、いきなりドッと人が押し寄せた。どうやらHRが終わったらしく、気づけば女の子たちに取り囲まれていた。せっかく薄れてきていた緊張が徐々に戻ってくる。
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