第9.5章 side Souta

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ココちゃんが居た時はニコニコしてたくせに、あからさまに不機嫌全開になった吉良は無表情になった。 「心ちゃん呼ばれちゃったみたいだし、私と回ろ?」 _空気を読めよ。 火に油を注いでどうすんだ。 「ご心配なく。 ココちゃんは約束破ったりしないから戻ってくるよ。」 「そうかなぁ? だってさっきの人と訳有りみたいな雰囲気だったじゃん。 戻ってこないんじゃない?」 吉良は嘘くさい笑みを浮かべて奈々子との間に手を入れると、そのままやんわり突き放した。 「仮にココちゃんが戻ってこなくても奈々子と回る気はないよ。 そうなったら俺蒼汰と二人で回るし。」 奈々子にギロッと睨まれた。 _吉良の奴、絶対さっきの仕返しだろ。 ま、奈々子にどう思われようとどうでもいいけど。 奈々子はおとなしく一緒に来た友達のところに行って座ったが、それでも執拗に吉良に絡んでいた。遠まわしに吉良に手を出すなと周りの女どもに言っているんだろう。モデルをやっているだけあって見た目は可愛いし、効果大だろうな。 「吉良君大丈夫かな?」 春姫がテーブルを拭きながら小さな声で聞いてきた。吉良がココちゃんの事を好きな事は話してないけど、春姫も気付いているんだと思う。 「まーココちゃんが戻ってきたら機嫌も治るだろ。」 俺が行かせたわけだけど、念のためココちゃんには“吉良が拗ねてるから戻って来てね。”とメールを送っておいた。
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