第10章 ヤキモチ

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金曜日の放課後、今日はバイトにも行かず、家にも帰らず、サッカー部の練習をグラウンドの脇から見学している。 女の子たちからの視線が痛い気もするけど、そんなのはもう気にしない。 サッカーしてる千里を久しぶりに見たかもしれない。格好良くて、優しくて、思い遣りがあって、でもたまに子供みたいな顔をする。それに心配性でヤキモチ妬き。 _千里の事を考えてる筈なのに、どうしてきーちゃんの事を思い出しちゃうんだろう……。 「心!!」 ボーっとそんな事を考えていたら、千里が笑顔で駆け寄ってきた。額には汗をかいている。鞄からハンカチを出して千里の額に当てた。 「練習中じゃないの?」 「休憩中。」 「勝手に?」 「あははっ、それどういう意味? みんなで休憩中だから話してても怒られないよ。」 グラウンドに目を向けると、確かにサッカー部の人たちは話したり水分補給したり自由にしていた。 「本当だ。」 「えー今日は心が酷い。」 「顧問の先生の怒鳴り声が耳から離れないんだもん。」 「あはは、俺も。 全部ひっくるめてあの時の事は忘れられないかも。」 「そうだね、私も忘れられない。」 ハードな練習の合間の休憩時間。ゆっくりしたいはずなのに、私が居る時はこうして構ってくれる。いつも嬉しい気持ちしかなかったのに、今日は少しだけ後ろめたさを感じた。
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