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  申し訳なさそうな千宮に 貴子はふるふると首を振る。 あの日、衝撃に耐え切れず 心が粉々に吹き飛んだあの日から 初めて今日、息をつくことが出来た気がする。 『・・・・・・この人と一緒に・・・』 それは今ある唯一の希望の光。 忙しい彼を待ちながら、 大好きな絵を描いて過ごす。 時折、お弁当を持って、彼の職場近くの公園で 一緒に花や木々を眺め、ゆっくり食事する。 子どもが出来たら、 2人で着る物やおもちゃを選んで・・・ 忙しい彼だから、きっと、旅行にも行けないけど それでも、いい。 子どもと千宮が笑っていてくれさえすれば どこだってきっと楽しくて、幸せなはず。 そんな、穏やかな日々を千宮とだったら、紡げる。
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