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空を見上げていた千宮が
ふぅ、と溜息をつき、貴子を見つめる。
ドッドッドッ・・・、と
激しくなる鼓動に呼吸は苦しい。
千宮はいつも通り
ゆっくり貴子の頭を抱え、自分の胸に引き寄せる。
「何もしないから、怯えなくていい。」
「・・・えっ?」
驚き、目を丸くする貴子に
千宮は照れたように笑う。
「僕も男だから、そんなに緊張されれば
嬉しいけど、さ。
でも、今夜は何もしない。
だから、安心して・・・」
なぜ、とまで言えなかったが
そんな千宮が分からなくて、首を僅かに傾げる。
そんな事が出来てしまうのも
きっと、千宮を心から信頼していたから・・・
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