3/6
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
  だけど、と千宮は貴子の手を 自分の胸に当てる。 「ココは・・・ ココだけはいつだって、君で一杯だった。 フッと見上げた空に浮かんだ虹や 立ち寄った異国の珍しい文化や食に会う度 貴子と共有できたら、どれほど幸せだろうか、と 貴子はどんな顔をするだろう、と・・・ いつも、何度も、そう思った。」 それは貴子を置いて日本を離れてから 今この時までずっと 千宮が唯一願い続けた事・・・ 「君は今も変わらず、あの日のまま僕の心に居る。 君のふとした仕草、笑顔、寂しそうな顔・・・ 全部、全部、この胸に焼き付いている。 目を閉じれば、鮮明にそれは浮かんで いつだって、僕を慰めてくれる。」
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!