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だけど、と千宮は貴子の手を
自分の胸に当てる。
「ココは・・・
ココだけはいつだって、君で一杯だった。
フッと見上げた空に浮かんだ虹や
立ち寄った異国の珍しい文化や食に会う度
貴子と共有できたら、どれほど幸せだろうか、と
貴子はどんな顔をするだろう、と・・・
いつも、何度も、そう思った。」
それは貴子を置いて日本を離れてから
今この時までずっと
千宮が唯一願い続けた事・・・
「君は今も変わらず、あの日のまま僕の心に居る。
君のふとした仕草、笑顔、寂しそうな顔・・・
全部、全部、この胸に焼き付いている。
目を閉じれば、鮮明にそれは浮かんで
いつだって、僕を慰めてくれる。」
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