6/15
前へ
/40ページ
次へ
  だから、 彼女を手に入れるという予想外の幸運を 巡り当てた千宮はこっそり暗示をかけた。 ”君には僕しかいない” そう、思い込むように ゆっくりと時間をかけ、静かにちょっとずつ。 自分を選んでほしかったから・・・ 貴子を何としても自分の物にしたかったから・・・ 『・・・こんな僕を知ったら、 君はきっと悲しむんだろうね・・・』 はぁ・・、と大きなため息が出る。 そう分っていたから、 決してそう悟られないように 一字一句、一挙手一投足に気を配り 貴子の傍に居た。 それでも、やっぱりその日は来た。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加