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だから、
彼女を手に入れるという予想外の幸運を
巡り当てた千宮はこっそり暗示をかけた。
”君には僕しかいない”
そう、思い込むように
ゆっくりと時間をかけ、静かにちょっとずつ。
自分を選んでほしかったから・・・
貴子を何としても自分の物にしたかったから・・・
『・・・こんな僕を知ったら、
君はきっと悲しむんだろうね・・・』
はぁ・・、と大きなため息が出る。
そう分っていたから、
決してそう悟られないように
一字一句、一挙手一投足に気を配り
貴子の傍に居た。
それでも、やっぱりその日は来た。
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