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唇を切れそうなほど強く噛む千宮に
大石はそれまでの愉快そうな笑みを消し、迫る。
「俺が調べた限り、
彼女のナイトになりえるのは貴方だけ。
そして、彼女は今、泥沼の中で
必死に息をし、足掻き続けている。
もうすぐ、頭まで使って息もできなくなるだろう・・・」
千宮をガリッと机に爪を立て、大石を睨み続ける。
そんな千宮に大石は思いもよらないことを言う。
「・・・助けてやってほしい。」
「・・・・・・・・・・・・は?」
間抜け顔を晒す千宮に
それでも、大石は真剣な、
それまで見せたどの顔とも違う顔で
政治家をしている仮面の時よりずっと
真摯な様子で頭を下げる。
「彼女をあそこから、日本から逃がしてほしい。
もう、あそこに彼女が心安らかに生きていける場所はない。
貴方しか、助けることはきっとできない。」
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