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大石は机に残った貴子の写真を一枚手でなぞる。
「・・・幸せになってほしい・・・
そう思った。
・・・もっと、自由に生きてほしい。
そう、思ったんだ・・・」
それだけのためにここまでする大石と言う男の
異常性に気付いていたが
その幼い表情に何も言えない。
「私たちに出来るのはここまでです。」
突然、いままで沈黙を守っていた秘書が
静かに釘を刺すように口を挟む。
ピクッと大石の表情に僅かな亀裂が入る。
同意を求めるような静かな沈黙の圧迫の後
大石は観念したように頷く。
「もう干渉しない。
彼女の人生に関わらない。
これから、貴方と彼女がどうなろうと
俺の知る所じゃない。
・・・・・・そもそも、この人と俺は住む世界が違う・・・」
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