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貴子はその時怯えるように
千宮の腕から離れる。
「・・・でも、・・・私は・・・」
結婚している、
その一言がどうしても口から出ない。
それは千宮を失う事を恐れていると言うより
今、自分の置かれている状況が
それに当てはまると想えなくて・・・
でも、心に枷はしっかり嵌っていて・・・
そんな貴子を見透かすように千宮は尋ねる。
「大石議員をしっているよね?」
えっ、と真っ青になる貴子。
なぜ、今、彼が、彼の名が千宮の口から出るのか
本当に分からなくて、怖かった。
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