9/14
前へ
/40ページ
次へ
  貴子はその時怯えるように 千宮の腕から離れる。 「・・・でも、・・・私は・・・」 結婚している、 その一言がどうしても口から出ない。 それは千宮を失う事を恐れていると言うより 今、自分の置かれている状況が それに当てはまると想えなくて・・・ でも、心に枷はしっかり嵌っていて・・・ そんな貴子を見透かすように千宮は尋ねる。 「大石議員をしっているよね?」 えっ、と真っ青になる貴子。 なぜ、今、彼が、彼の名が千宮の口から出るのか 本当に分からなくて、怖かった。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加