奪還──そして出会い今へ

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「も、うし訳ない…私の失態を文字通り水に流して頂いたのに……どうやらまだ寝惚けていたようだ (この…どうせお前が眠らせたんだろうが!!それを……ぐっ、せめてこじつけでも寝てしまった事を不問にするのが精一杯か…)」 (わぁ~凄い!!解ってて謝るなんて…人としてのプライドとかないのかな?) 「いいですよ、別に気にしてませんから」 私は楽しくて笑顔で返した 「……………(このクソ餓鬼がっ…)」 どうやらギルマスにはそれが挑発に見えたみたいだったけど残念ながら私には関係ない 「まあ、そんなに怖い顔しないでください…これから長い付き合いになるんですから…ね?『闇夜の殺戮者』さん♪」 「っ!?……何故お前が知っている」 読んだ記憶の中には無かったが情報としては十分だった 貴族の子供は皆知っていると言っても過言ではないその有名な名前(二つ名)は"貴族狩り"を行った人物なのだから 「あ、ごめんなさい?ギルマスの二つ名は『白・銀・の、殺戮者』さんでしたっけ?あまりにも名前が似ているもので、間・違・え・てしまいました」 てへぇ、と可愛らしく小首を傾げてみる 「……………」 うん、目立った反応は返って来なかった…   代わりに眼だけは更に鋭く睨んでくる 「でも~闇夜の殺戮者なんて、子供を叱る(脅す)時に使うような大悪党が国を護る盾でもある重要なギルドのマスターなんてやっている訳ないですよねぇ~」 私は直接言われた事がないけど、彼の悪党はとても有名だ その恐怖が今でも貴族の戒めとなっているぐらいに… 私を産んだ女も、丁度やんちゃな年頃だった兄(塵)に話しているのを聞いた事がある 悪い子の前には"闇夜の殺戮者"が現れるんですよ、と 日本で言う処の[ナマハゲ]や[鬼]の役割を担っていた ただ違うのは、彼の大悪党が実在している事と"まだ"捕まっていない事だろうか たった数年で50にも至る貴族(血縁者含む)を皆殺しにし、邪魔する者は子供でも殺す史上最悪の殺戮者 彼のものが通った後には血の道ができると云われる大悪党で、ギルマスの"白銀の殺戮者"という二つ名もこの大悪党から取って付けられたという まあ、記憶を見た限り本人なんだけど… 「ふふっ…」 使える駒は大歓迎だよ♪殺戮者さん… 私は嬉しくて本当に心から笑みを浮かべてギルマスに手を伸ばした
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