王への謁見──[(五分前)]

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───[全帝Side] 俺は今、王城の通路を歩いている 隣にはあの悪魔(妹)の姉が新たな闇帝としてついてきていた 正直、まだあいつを信じた訳じゃない そもそも話し合いと言う名の脅迫で迫り、お互いに協力と言う名の一方的な下僕契約を結ばれ信用しろと言う方が無理だろう ただ、彼奴と手を組む価値はあると思っている あの後──俺が脅迫(話し合い)により"友好"な協力関係を結んでから、彼奴は俺にある提案をしてきた その内容は滅茶苦茶、狂人かと疑うようなぶっ飛んだ内容だったが… 俺にとっては賭けてみるには悪くないモノだった 特に、目的の第一段階である国の改革には俺の方が益がある 向こうの目的も復讐?であり、国の経営に関する事は俺に任せてくれるというのも大きかった… 別に俺自身は国をどうこうしたいという野望はないが、権力があって困る事はない 俺の目的が復讐である事もあり、偉くなれるなら問題はなかった とは言っても、俺の復讐する相手はもうこの世に居らず、似たような悪人に八つ当たりしているようなものだから個人的にはあまり大きくは言えないのだが… この国がよくなるなら例え私怨でもいいと俺は思っている 彼女もそうだが、この腐った世の中には"必要な悪"だと思う だから俺は、彼女から差し出された手を取ることにしたのだ 例えそれが人として間違った道だとしても… 沢山の罪のない人々を殺す事になるとしても… その先にある未来が多くの人々にとって幸福(希望)に満ちたモノだと俺には解ってしまったから その時点からもう俺が逃げる訳にはいかなくなった 俺も"この国の"貴族で全帝でギルマスである前に1人の人間なのだ 国が多数存在し、百年前まで続いていた戦乱がまた起こりそうな現代において"大陸にある全ての国を無くす"といった彼女の計画は、1人の人としてこの国を裏切り彼女の方に着くだけの魅力があった ただ、時間の関係上具体的な方法が聞けず いきなり転移魔法を使って現れた姉(新たな闇帝)と名乗る人物を押し付けられて、強制転移によって城に送られた事には不満を感じている
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