王への謁見──[(五分前)]

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ミリアと同じ歳ぐらいでありながら"姉様"と呼ばれ、闇帝の地位を任せる程に親い人物 「…………今さらだが君の本名を教えて貰ってもいいかな、闇帝?」 解らないなら聞くのが一番だ。俺は幸いにもその辺の変な拘り(プライド)は持っていない 「…えーっと、ミリアっていいます…今更ですけど宜しくお願いします」 あ~、最悪だ… 俺は考えられる中で、一番最悪な答えを耳にした 「………なら、あのギルドでミリア譲を名乗っていたのは」 「ええ、妹のクーリカです」 「因みに…妹君の年齢は──」 「数日前に3つになったばかりなんですよ」 まるで自分の宝物を自慢するように言い放たれた言葉は、深く俺の心を抉った 6歳に(口、情報、実力の三拍子で)負けるのも十分悔しいが… まだ試しの義(五歳に受ける魔力検査)を受け魔法や貴族の英才教育を受けている子供に負けるのなら良かった いや、良くはないが納得はできた。それは即ちその子供個人ではなく、その"家(血)"に負けただけなのだから 高位貴族の血筋ならそんな事もあるだろうと納得もいく、なにせ彼等には"神人(ユウシャ)"の血が流れているのだから だが、3歳に負けるなど普通ではあり得ない まだ教育を受けられる年齢ではないし、何より魔法を使った時の反動に体が耐えられない筈だ 「ふっ……ふふ…はははっまさに…いや、真に"化け物"だったか」 横で急に笑いだした俺から3歩程離れた闇帝が此方を伺っているが、俺の笑いは止まらない こんな愉快な気持ちになるのは久し振りだった 3歳にしてギルドの頂点に立つ幼女 正直、面白いと思った 偶然、神人の血を濃く受け継いだ可能性もあるが、現実的に考えて彼女は選ばれたのだろう 何に…等俺のような矮小な存在には解る筈もないが、それは恐らく世界や真に神と呼ばれる者、憶測だけならいくらでも浮かぶ ただ、一つだけ確かなのはそんな事が容易にできる存在であるということ 彼女はその何者かに、または世界そのものに望まれた存在なのだということだ 「ははっ…」 その答えに辿り着いた瞬間、俺の中で覚悟が決まった
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