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私の、俺の封印がとけた時
私は独りで部屋に居た。
広い部屋、家具と書物の山があるだけで女の子らしい可愛らしい物が1つもない質素な部屋
私はそこで、本を読んでいた。3才の子供が読むには難解な本
俺はすぐに疑問を持った
だが、同時に流れてきたこの3年間の記憶で納得した
記憶は、俺が封印されたあとから始まっている…
「クーリカ!ほら此方おいで…」
「あー、うー」
兄も、姉も、母も、初めは私を可愛がってくれた。
勿論、屋敷に仕えている使用人の人達も…ただ仕事で忙しいお父様以外はみんな良くしてくれた
でも、そんな平穏は長くは続かなかった…
私が産まれて1年と少し…姉の5才の誕生日
この国では貴族だけ、5才の誕生日に魔力を測る事を義務付けられている
これは、戦争が長く続き貴族を兵力としか考えていなかった頃の名残らしい
姉はその義務通りに魔力を計り、そして───
魔盲として表舞台から消えた
私はまだ1才の子供でその時は何も解らなかった
ただその意味は嫌でもすぐに解る事になる
今まで接してきたみんなの態度が変わったのだ
一番一緒にいた姉が消えて、母は私に会いに来なくなった
兄は姉の事で父と喧嘩し、追い出されるような形で、貴族が入る必要のない学園(初等部)の寮に入れられた
使用人達はまだ魔力があるかも解らず、姉と同じ女の子である私を避けるようになった
そうして私は、独りになった…
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