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「よ~うアンチェイン!
今日も1人ぼっちで特訓かぁ?
精が出るなあ!?ハハハッ」
廊下を通りかかった2人組から中庭で木剣で素振りする僕に、そう声をかけられる。
いつも通りの、見下したような声音。
だから僕も、いつも通りの返事をする。
「こうでもしないと皆には着いていけないからね。
そう言う君たちは大丈夫なの?
この前の実技試験……芳しくない成績だったらしいけど?」
「ぐっ………テメェ!」
2人組の内の1人、大柄な男が僕に突っかかろうとする。
「おい……やめとけ」
が、2人組の小さい男がそいつを止める。
「ハッ!
成績だけのアンチェインなんざ相手にしてらんねぇな!」
止められた大柄な男は、そう吐き捨てて去って行った。
小柄な男は大柄な男に着いて去り、中庭には僕だけが残る。
僕は建物と中庭に生える木々の隙間から覗く空を見上げた。
「そろそろ時間かな」
午後の訓練が始まる。
僕は木剣の返却と訓練に向かうために、訓練場に向かった。
訓練場
一辺10メートルの四角形のバトルフィールドが4つ備えられた室内の訓練施設。
昼休憩の時に僕が使っていた木剣もここから借りている。
訓練場にはアビリティ騎士養成機関に所属する、次期アビリティ騎士候補生の全員が集まっていた。
僕はその、次期アビリティ騎士候補生の一員として、訓練場に来ていた。
午後1時から2時間、僕たちはここで訓練をするわけだ。
教官が僕たちの前に立ち、声を発する。
「今日は通常訓練は中止し、特別訓練を実施する!」
通常訓練は、僕たち候補生同士でペアを組んだり、集団的な模擬戦をやっていくものだ。
特別訓練は、主に特別な人が来たときに実施される訓練。
例を挙げれば、アビリティ騎士団の団長などが来た時などは特別訓練が実施され、候補生たちが手解きを受ける……と言った具合だ。
最近、特別訓練はなかったけど………
今日は誰が来るんだろう?
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