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「父上~~」
「そゥら、高ェ高ェ」
三~四歳くらいの子供、それも女の子ばかり四人に囲まれ。
主馬は顔が、だらしなく脂下がって居た。
「主~~馬、御客さんだよ」
町娘が友達に接する様な口調で、松は主馬を呼ぶ。
「客? 今、留守だッて言ッとけ」
「そうは問屋が卸さないんですよね。お仕事の話ですし」
悪戯がバレた様な、なんとも言えない表情を見せたが仕事と判ると態度を改めた。
「仕事?」
「ええ。少々、混み入ってまして。先般、神田と浅草の間辺りで起きた件。知ってますか?」
どうやら、主馬も耳にしている様だ。
「ありゃ、北の件じゃねェか。俺ッちの預かり知らねェ話だぜ?」
「ところがね、どうも只の人殺しじゃ無いみたいでして」
奥歯に物が挟まった様な物言いに、主馬も何となく疑問を感じる。
「取り敢えず、話してみな」
「杉下さん達が来てから、話します。それまで、待ちましょう」
神戸も、急かす積もりは無いのか。
縁側へ、腰を降ろした。
「ねえ、主馬。抱き付いて良い?」
「とッくに抱き付いときながら、言う様な事ッちゃ無ェな。こら、お前ェ等もだ」
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