~第一話~ ひとひらの、雪も消えゆく朝の靄

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「父上~~」 「そゥら、高ェ高ェ」  三~四歳くらいの子供、それも女の子ばかり四人に囲まれ。  主馬は顔が、だらしなく脂下がって居た。 「主~~馬、御客さんだよ」  町娘が友達に接する様な口調で、松は主馬を呼ぶ。 「客? 今、留守だッて言ッとけ」 「そうは問屋が卸さないんですよね。お仕事の話ですし」  悪戯がバレた様な、なんとも言えない表情を見せたが仕事と判ると態度を改めた。 「仕事?」 「ええ。少々、混み入ってまして。先般、神田と浅草の間辺りで起きた件。知ってますか?」  どうやら、主馬も耳にしている様だ。 「ありゃ、北の件じゃねェか。俺ッちの預かり知らねェ話だぜ?」 「ところがね、どうも只の人殺しじゃ無いみたいでして」  奥歯に物が挟まった様な物言いに、主馬も何となく疑問を感じる。 「取り敢えず、話してみな」 「杉下さん達が来てから、話します。それまで、待ちましょう」  神戸も、急かす積もりは無いのか。  縁側へ、腰を降ろした。 「ねえ、主馬。抱き付いて良い?」 「とッくに抱き付いときながら、言う様な事ッちゃ無ェな。こら、お前ェ等もだ」
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