第1章

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外はまだ冬の名残りが残っている。それでも、春を感じさせる鳥の声に胸が高まる。ウグイスーーではないな。メジロか、はたまたはただのスズメか。 霜が俺の家の小さな庭に張り付いていて、思わず鷲掴みしたくなる。メシャッと潰れる感覚が楽しいんだよな。 NINAは俺の頭の上でクルクル回っていた。 《ご主人様の頭はクルクル…》 コツンと頭をぶつけて落ちる振りをする。 《パー》 俺は仕方なく笑ってやった。 「パー」 NINAが嬉しそうに跳ね回る。 俺は仕返しにNINAの顔の前に人差し指を突き付けて、グルグル円を描いた。 「赤トンボ、この手に止まれ」 NINAが俺の指に齧り付く。 「イデェよ!!」 俺達は何とか馬鹿げたことをやることで、疎外感を晴らしていた。 誰も俺を見ない。 本当に死んだのなら、零水礼央として生き返りたい。生まれ変わるとかそういうのは余り考えたくなかった。 俺は零水礼央の人生が欲しいんだ。もっと、女の子と接したかったんだ。土子は良い子だよ、だけどな、相当暗い女だ。惚れてはいる。それでも、男は浮気する生き物なんだぜ? NINAは俺が少し寂し気な表情をしているのに気付き、気の毒そうに俺を見た。
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