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俺は放課後、土子と図書室で篭っていると、我ながら嫌な発想に囚われた。
もし、土子の影を奪えたら?
本を読むフリする手が神経質に震える。そっと土子の様子を見る。また俺を忘れている。そもそも何で、こんな地味子のために本なんか手にしないといけないんだ?
NINAは俺の横で眠っていた。
俺は復讐されるのを覚悟でNINAを叩き起こした。
「NINA!起きろよ、おい、NINA!!」
NINAは気怠げに起き、俺の頬をつねった後、むっすりと《何よ》と一言告げる。
「なあなあ、俺の影濃くなることってあるんじゃね?」
《やめといた方がいいわよ》
本の中の文章の羅列が奇妙に蠢き、文字だけ浮き出してNINAの周りを回った。
NINAが文字を食べる。
何をやっているかは俺にもサッパリで変な宇宙人ぐらいにしか認識できない。
俺が手にしていたアウストラロピテクスが人間になるまでの歴史書を食べる宇宙人なんて、本当、訳分かんね。
それにしても、アウストラロピテクスを見たらゾッとするだろうな。だって、人間の祖先だぞ?なのに、動物の生肉を食べるんだ。もしかすると、飢えていたら人間の肉だって食べたかもしれない。ただの野蛮人じゃねえか!
NINAが俺の頭をペシペシ叩いた。
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