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《とうとう悪事を働くことにしたのね、礼央君》
俺はヤンキー口調で喧嘩を買ってみた。高い値段だった。
「俺はどんなに辛くても人間に戻りてぇんだよ。カメレオンとかクソッタレだ!!」
《嘘ばかり》
俺は咄嗟に本を投げ出して、土子に頭を下げた。
「影を下さい」
土子は状況を間違って把握した。
「誰かにイジメられたの?零水君」
金を下さいに聞こえたらしい。
俺はもう一度哀願する。
「俺の影、無くなりそうなんだよ。俺にいて欲しければ、土子、お前の影を俺に分けてくれ」
「お金はダメ。私から先生に言っておくから」
俺の頭を撫でる土子の余裕に驚かせられる。
俺は本当にカツアゲされた気分になった。
「影、影、影…」
泣きそうな声で思わず呟いちまう。そうなんだ、俺はもう耐えられないぐらい人に構って欲しかったんだ。
土子は困惑してあらぬ方向に話かける。
「妖精さん、零水君に何があったの?」
NINAがキャッキャと笑った。
俺はNINAに聞いた。
「どうすれば、零水礼央が零水礼央になるんだ?」
NINAは意地悪く俺に微笑する。
《そうね、透明人間サークルを作れば?》
俺は実際、透明人間サークルを作った。結果、後悔した。
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