第1章

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《とうとう悪事を働くことにしたのね、礼央君》 俺はヤンキー口調で喧嘩を買ってみた。高い値段だった。 「俺はどんなに辛くても人間に戻りてぇんだよ。カメレオンとかクソッタレだ!!」 《嘘ばかり》 俺は咄嗟に本を投げ出して、土子に頭を下げた。 「影を下さい」 土子は状況を間違って把握した。 「誰かにイジメられたの?零水君」 金を下さいに聞こえたらしい。 俺はもう一度哀願する。 「俺の影、無くなりそうなんだよ。俺にいて欲しければ、土子、お前の影を俺に分けてくれ」 「お金はダメ。私から先生に言っておくから」 俺の頭を撫でる土子の余裕に驚かせられる。 俺は本当にカツアゲされた気分になった。 「影、影、影…」 泣きそうな声で思わず呟いちまう。そうなんだ、俺はもう耐えられないぐらい人に構って欲しかったんだ。 土子は困惑してあらぬ方向に話かける。 「妖精さん、零水君に何があったの?」 NINAがキャッキャと笑った。 俺はNINAに聞いた。 「どうすれば、零水礼央が零水礼央になるんだ?」 NINAは意地悪く俺に微笑する。 《そうね、透明人間サークルを作れば?》 俺は実際、透明人間サークルを作った。結果、後悔した。
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