第2章

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母さんまで俺を見ていて、恐怖の余り後ずさった。感情まで読み取れる。 「礼央。何回遅刻したら、気が済むのよ。さっさとご飯食べて行きなさい。何?その表情。母さんに幽霊でも取り憑いているのかしら」 母さんが軽やかに笑う。 「おかしな子」 老けてはいるが美人の類いには入る。OLではなく専業主婦だから、俺にも罰が来るんじゃねえか? 俺は朝食のメニューに目を見開いた。 「何これ?」 「鳥足だけど?どうしたの?」 俺の視界がグニャグニャと歪む。鳥足がどうしても土子の影にしか見えなくて、トイレへ駆け込むと、昨日のチーズハンバーグ全部を吐いちまった。 気分が悪い。 土子、どうなってるんだよ?今頃。 俺のせいだ。 俺は学生服も着ずに普段着のまま、家から飛び出した。もちろん、学校の鞄なんか持って行く余裕もない。 土子のマンションは俺の家から走ると15分ぐらいの場所にある。 俺は心臓の鼓動に耳を澄ませながらもいきなり恋人を発狂させた自分を呪った。NINAが何度も《礼央のバカ》を繰り返している。走っても走っても土子の家に辿り着かなかった。土子はそもそも誰だっけ? 《零水礼央の恋人になったばかりの人》 何者かの声がする。
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