第2章

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その何者かを想像すると実体感を持ち始め、永遠と走っていた俺の足が鉛を帯び、頭の中でグルグルと円を書いた。円?そうだった、サークルが俺と他者を繋いでいる。 何者かは赤い目と羽でひょろりとした体格をし、小さく跳ね回っている。まるで宇宙人だ。いや、実際、宇宙人じゃね? 何かマズいことが起こっている。 必死に名前を思い出そうとした。 《必要ないわ。NINA》 俺はNINAを見た。途端に俺の影からフワフワした空気がなくなる。 周りの人も異様な俺の走り様を無視した。 「NINA、土子はどこにいる?」 《その前に、〝俺は人間〟と言って》 その時になって思い出した。 ルール2.仮の動物に成り切って話す 土子はそれを守らなかったから、影を奪われたんだ。 俺が土子に影を返す方法があるとすりゃあ、カメレオンから素の自分に戻りゃあいい。 簡単なことだ。 なのに、俺は泣いていた。 せっかく手にした影が恋人を発狂させているなんて、気分最悪だぜ?どうせなら死んでもいいヤツの影が欲しい。土子は守らなけりゃ男じゃねえよ。 土子の住所を突き止めるより先に自宅に着いた。 NINAはいない。 ただの硬い使命感だけで驚いた顔をした両親を無視し、ノートパソコンを立ち上げた。
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