第2章

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忘れる前に素早くチャットに書き込む。 カメレオン:俺は人間 途端に両親は俺という人間がいたことを忘れた。 さっきまで、俺を怒鳴り付けていた母さんが無表情で植物に水をやっていた。 父さんは俺を捕まえようとする手を止めて、会社の準備をする。 NINAがクスクス笑っている。 俺は余裕が出来て、チャット欄に目を通した。 つちのこ:私の影を返して つちのこ:化物がうじゃうじゃいる つちのこ:助けて!!カメレオン君 つちのこ:妖精さんじゃないよ、この怪物 つちのこ:カメレオン君、私、どうしちゃったのかな? 俺はとりあえず落ち着こうとした。もうこの問題は解決だ。土子は影を失うと化物の幻覚に取り憑かれる。俺は影を失うとNINAに取り憑かれる。どういう訳か透明人間は幸せなんて、言える状況じゃねえ。だからと言って、影が濃ければ、人目を引き過ぎて、自分勝手な真似をすりゃあ、直ぐ怒られる。あのまま、学校に行けば、散々、バカにされただろうな。 土子の影は駄目だ。土子と組んで、残りの5人にルール破りさせ、2人で一般的な影を手にしようじゃん? 気にかかるのはルール4の〝透明になった後は自由〟を守り続ければ、まさかだが、影を濃くできるんじゃねえか。 つちのこ:ありがとう、カメレオン君
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