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俺は涙を拭って学校の準備をした。いつも土子と待ち合わせしている猛々しく気張っている大木の下で土子の心配ばかりしている。俺らしくない。
土子は俺を見つけると「零水君」と泣き付いてきた。
この影遊び、ただの火傷では済まねえ。
「土子、お前が幸せだったら、俺、不幸でいいぜ」
NINAが呟く。
《嘘吐き》
土子は何も言わず、俺の胸の中に収まっている。
「零水君は悪くないの。ルールをちゃんと理解してなかった私が悪い…」
俺は土子の肩を乱暴に掴んだ。
「俺の影を濃くするのを手伝ってくれないか?土子」
土子はキョトンとしている。ピンクのリップクリームが唇からはみ出していて、俺はそこを拭ってやった。
「零水君…」
土子の小さな唇に引き寄せられるようにキスする。
土子は最初、抗ったが、直ぐ諦めて俺の腕の中で身を任せた。
俺は身長高い方とは言えなかったが、土子はかなり小柄な方だ。
さて、土子をどうしてやろう。一層の事ヤるか?
その気力が湧いて来た時、携帯が鳴った。電話はやたらと俺の邪魔をする。
「俺礼央。もすもーす」
「………」
「何とか言えよ」
「カメレオンか?」
俺の心臓が跳ね上がった。そういえば、【透明人間サークル】のホームページに俺の携帯番号を載せてあった。
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