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俺は警戒しながら、そうだけど、とぶっきらぼうに答えた。
声の主は声の低い女だ。
「私を【透明人間サークル】に入れてくれ」
俺は喉を鳴らした。
「構わんですけど、1回入ったら抜けられんですから、よ~く考えた方がいいですぜ」
「至急、透明にならないと殺されるんだ」
俺はニタリと笑う。
「借金かなんかですかね?」
「勝手にそう思っていて欲しい。透明になる方法は?」
女は切羽詰まった様子で尋ねてくる。
「ルールを破ればNINAがアンタの影を奪いにいく」
「NINA?」
俺は皮肉った。
「透明にしてくれる妖精だよ、妖精」
女が怪訝そうに言う。
「そんなものでも頼らないといけないなんて情けない。お前、主催者で間違いないか?ホームページが可愛いから女の子を期待していたのだが…」
「ん?アンタ、レズビアン?悪かったな、男で」
「いや、いいよ。声変わりしてなくて可愛いじゃん?」
「透明人間は成長しないからな…」
「サッサと私を透明人間にして頂戴」
「へいへい。【透明人間サークル】のページ開けて待ってろ」
俺は今日、学校に通うのを諦めた。土子も俺の後を付いてくる。
「零水君、お客さん?」
「いや、獲物だ、つちのこ。カメレオンの餌だな」
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