第2章

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父さんは会社に行ったらしい。 無表情な母さんが、ゴボウの皮を剥いていた。剥いてはゴミ箱に捨てている。 NINAが母さんの周りでチョッカイを出そうとして、失敗していた。 《この人、人じゃない》 俺は、去年の末にネトゲするために盗んだノートパソコンを立ち上げると【透明人間サークル】を出した。 カメレオン:新しい仲間が来ると聞いて ライオン:チャット見たけど何があった訳?ただのアベックの会話にしては不気味だ カメレオン:ライオンは何で消えたいんだ? ライオン:お前には重過ぎる話だな。それより透明にして欲しい カメレオン:ルール2の破り方、分かるだろ? ライオン:私は人間? カメレオン:違う、ライオンだろ?百獣の王だ ライオン:いや、確かに人間だ 言っちまった。この人、終わったな。 カメレオン:影を頂く 俺はNINAに影を奪ってくるよう言う。 NINAはヤレヤレとポーズを取った後、光のスピードで飛んで行った。 もう既に俺の長い影が薄暗く重々しい空気に触れている。徐々に侵略し、俺と一体化した。 影が濃くなっている。 母さんが俺を見た途端、指を滑らして刃で人差し指を傷付けた。 「アンタ、どこにいるのよ。いきなり現れてビックリしたじゃない。…あら?私ったら、ゴボウサラダを作ろうとしていたのに何やってんのかしら」
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