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俺はもう立派な大人だ。だが、女に甘いのは子供の頃からと同じで変わっていない。偽土子は俺をベッドに拘束したまま、自由に出入りした。
「零水君、もう大丈夫だよ?楽にしてあげるからね。ご飯にしようか。メロンパンとかコロネとか買って来たよ」
俺は叫んだ。
「俺はペットじゃねえ!!解け、土子モドキ」
偽土子がキョトンとしている。
「ペットが欲しいの?」
「お前をペットにしてやる。土子モドキ」
「土子は土子だよ」
俺は小さな子供に教えるように言った。
「いいか、俺の好きな人はつちのこなんだ。洒落たSM嗜好の犯罪者じゃねえ」
俺は畳み掛ける。
「お前なんかつちのこモドキだ」
土子モドキが擦り寄って来る。
「零水君の強気なところ好き」
「近寄んな!ケダモノ!」
土子モドキは嫌がる俺に無理矢理、明太子フランスを食べさせた。いや、無理があるだろ?それでも、俺は硬いパンを食べざるを得なかった。昨夜から1日中、何も口にしてなかったんじゃ、仕方ねえよな。
俺が飢えた口でガツガツ、パンを平らげていると土子モドキは俺の頭を軽く撫でた。
おふざけでその手まで噛み付こうとする。
土子モドキがキャッと一声上げ、楽し気に手を引っ込めた。
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