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俺はしけたツラして、せせら笑った。
「キャッてお前、並大抵の女のつもりか?お前なんか一般の女以下のスベタだ!」
土子モドキは少し心外そうに微笑む。
「メロンパンは私の分だよ、そんなこと言ったら…」
「俺の餌じゃねえのか?」
「私ごと食べるといいよ、零水君」
俺は自分の状況を忘れた。
「このスケベ!変態!」
土子モドキがネットリと俺の口に付いた明太子を舌で拭う。
全身に寒気が走る。
俺は逃走回路を探した。
淡いオレンジ色の電球が3つ、ダブルベッドとテーブルとテレビの上に付いている。先程からテレビからAVビデオの女の喘ぎ声が聞こえる。キャンキャン吠える犬のようだ。
風呂場からアロマの香りが漂ってき、土子モドキも甘い匂いを発している。
何だろう。
ライオン、アンタ幸せだよ。何が透明になりたいだ?
その思いは土子モドキの一言で消え去った。
「見ちゃったの、零水君」
土子モドキがバッグから何かを取り出す。
「零水君があの女とイチャつくのを」
「え?」
「惚けないで!!零水君、本当はあの女の方が私より好きなんでしょ?」
俺は記憶を探る。何故か、幼馴染設定の女の顔が出て来た。美人だが、性悪ででも、時々見せる顔が可愛くて…。
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