第1章

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放課後は土子とトボトボ、下校だ。土子は実は今年の始めにできた初めての女友達だ。だけど、まあ、無口なヤツだけあって、気まずいだけだな。 最初からこう言えば土子は俺から離れたかもしれない。《SEXさせろ》。 俺の罪があるとすれば、土子まで巻き込んじまったことだ。本当はあの放課後の図書室での寝顔に惚れちまってた。土子は涎を垂らしながら幸せそうに、「零水君」と俺の名前を呼んだ。 ゼロミズじゃねぇ!レイスイだっつうの。 俺の名?零水礼央(レイスイレオ)。俺礼央。上から読んでも下から読んでも俺礼央。なんちって。 こんな境遇だからこそ、お笑いネタに走るもんさ、人間ってヤツは。まあ、もう俺、死んでるけどな。 それでも土子は俺を見るから不思議なんだ。 「零水君、今日もありがとう」 俺は土子のショートと眼鏡を目に焼き付けた。何となく、また忘れそうな気がした。 「何、言ってんだ?土子。それより、夕日が綺麗だぞ」 土子が俺の耳に唇を近付ける。心臓の鼓動に驚いちまった。 「零水君、いつもありがとう」 俺は夕日に走って行った。 「夕日の馬鹿野郎!!!」 戻って来るとドキッとするような土子の笑顔が待っていた。 「零水君、面白い」 俺は苦笑する。 「そこはお前、『海の馬鹿野郎よ』だろ?」
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