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NINAは土子を気に入っていた。
俺はNINAに話しかける。
「良い子だろ?土子は」
《私に下さい》
「何、馬鹿言ってんだよ、NINA」
《あなたが一番馬鹿よ、ご主人様》
袖を引っ張られてふと気付く。土子が不思議そうに俺を見上げていた。
「また妖精さんとお話してるの?」
俺はそうだ、と答えた。土子には正直に〝妖精〟に取り憑かれていると話してある。
NINAは宇宙人にしては妖精にも見えなくはない(と思いたい)。赤く細長い目に小さな羽が特徴的な変な生き物だ。俺にしか見えないし、触れない。いや、俺も触れない。だから、何だって言うんだ!!
俺がイカレている?
そうだったら、もう病院に放り込めよ。俺も自信ないしな。
という訳で俺はその日も大声で街中に馬鹿野郎と叫んでやった。
透明なんだ。
土子以外誰も俺を知らないんだ。
だったら、自由極まりない。まあ、よく分からないけど、父さんと母さんが俺の帰りを待ってるけどな。本当の父さんと母さんはあんなんじゃないという妄想に取り憑かれている。俺が帰って来ても、感情が篭ってない顔でこちらを見、おかえりなさいの一言もなく、食堂に通される。そこには、いつも俺の大好きなチーズハンバーグが置いてあるんだ。
俺って幸せ者(苦笑)。
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