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《礼央、起きて。朝の散歩行きましょ》
NINAの言葉で、俺は重い瞼を開ける。NINAが手足を引っ張って来るが、俺は痛い痛い言いながら、ボーッとソファーから離れようとしなかった。
痺れを切らしたNINAが俺の頬を思いっきり殴った。痛いってレベルじゃねえぞ。
俺はキレてNINAに襲いかかろうとする。NINAに触れないことを忘れていたせいで、前のめりになって倒れる。
NINAが、クスクス笑った。
《朝から元気ね、礼央》
俺はアホ毛を直しながら、毒付いた。
「お前程じゃねえよ、NINA」
《今晩のゲームのストーリー、傑作だったでしょ?》
「ああ、犬がヒロインで勇者とラスボスが犬の肉を平らげるのな」
俺の髪の毛は静電気で擦った後のようにピョンピョン跳ねている。こんなもの全部は直しようがない。
《ヒロインのドーベルマンの悲劇ね》
「どういうバグり方したら、そんな話になるんだよ?」
俺は怒るのを諦めた。NINAは相手にすればするだけ、コケにされるタイプのヤツだ。
俺は無言の母さんが作ったベーコンエッグを口に運ぶ。パジャマは着ない派だから、ワザワザ着替えなかった。ふと夜、寝ている内にNINAが電波で俺の髪の毛をグシャグシャにするイメージが湧いたが、余りにも気持ち悪いんで、直ぐに想像をやめた。
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