0人が本棚に入れています
本棚に追加
歩きながら、ふと、さっきの少年の言葉が頭をよぎった。
…スリッパ……!!!
私の心臓が急にドキドキし始めた。確かに。確かに私はあの日、室内用のスリッパを履いたまま病院に向かったのだ。頭の中が真っ白で、靴を履くことも忘れタクシーに乗り込んだ。
あの子!
私は少年の走り去った方へ、早歩きで向かった。
向かったものの、その姿を見ることは出来なかった。
あの話し方…
深く帽子を被った姿……。
けん君。あれから、私は好きな人が現れて結婚して、もうすぐ母になるよ。自分でも信じられないけどね。こんな、そそっかしい私だけど大丈夫かな。
貴方に出会えて良かった。
本当に、あなたっていつも突然ね。
最初のコメントを投稿しよう!