第1章

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歩きながら、ふと、さっきの少年の言葉が頭をよぎった。 …スリッパ……!!! 私の心臓が急にドキドキし始めた。確かに。確かに私はあの日、室内用のスリッパを履いたまま病院に向かったのだ。頭の中が真っ白で、靴を履くことも忘れタクシーに乗り込んだ。 あの子! 私は少年の走り去った方へ、早歩きで向かった。 向かったものの、その姿を見ることは出来なかった。 あの話し方… 深く帽子を被った姿……。 けん君。あれから、私は好きな人が現れて結婚して、もうすぐ母になるよ。自分でも信じられないけどね。こんな、そそっかしい私だけど大丈夫かな。 貴方に出会えて良かった。 本当に、あなたっていつも突然ね。
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