第1章

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「うわ!綺麗な向日葵!僕も好きなんです、向日葵!」 えっ…… 帽子を深く被った少年が、元気よく声をかけてきた。 「あら、そう!綺麗でしょ? この人が大好きだったの。何も言わずに天国に行ってしまったけどね。」 「この人、お姉さんの元カレ?」 少年が墓を指差し尋ねる。 「ふふっ、当たり。」 「へ~。え?なに何?」 急に少年が墓に耳をくつけた。 「ふむふむ。」 「あら、何してるの?」 少年が、眉間にシワを寄せて何やら会話をするフリをしている。 「お母さん、心配しちゃうよ?大丈夫?お母さん、近くにいる?」 「ふむふむ。ププッ!」 急に手を口に当て、少し笑った。 「お姉さん、そそっかしいから気をつけなきゃ駄目だよ、だってさ。もうスリッパで外に出ないように。」 「え?何それ?……」 少年はそれから何も言わずに、私の大きなお腹を優しくなでて走って去ってしまった。 何だったんだ。あの子……。 さて行くか。じゃあね。頑張って元気な子を産みますからね。 私はもう1度拝んでから、彼の墓を後にした。
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