第1章

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「よかったですね。今日がキャンペーンの最終日なんですよ。しかも残席はあと1名様」 本当によかったですね、 とスタッフの女性はさも嬉しそうだった。 そうかもしれないが、里菜が店内に入ったのは本当に衝動的なことだった。 時期も場所も、何も決めていない。 ましてや旅行に行くことすら、決めていたわけじゃない 会社の昼休みに同期の沙也加から、 「里菜は、夏休みどうするの?」 と聞かれたので、 ちょっと考えてみただけのこと。 「今年は、どうかなぁ」 まだ、あれから半年も経っていないのに旅行なんかに行くのは気が引ける。 「沙也加は?」 と話をふると、 よくぞ聞いてくれましたと言わんばかりに夏の予定を聞かされた。 しまったと思ったが遅かった。
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