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夜営のテントまで戻ると、意外なことに、魔導師は食事の用意をしていた。
メニューは、薬草に、薬草水、火に掛けた薬草。よく分からん木の皮。メインディッシュは薬効のある木の実。
「……とりあえず、こっち食おうぜ」
切り取った“手羽先”を見せると、魔導師は眉間に皺を寄せて一言。
「そんな物食えるのか」
…………まぁ、オレもどうかと思ったが、かといって、ひと仕事した後に薬草のフルコースを食う気にはならない。
焚き火の傍にマントを敷き、チェルシーを寝かせた。その隣に座ると、魔導師がちらっとチェルシーの方を見る。足がくっついていたのが信じられなかったんだろう、僅かに目を見開いた。
「余計な詮索はしないでね。チェルシーは無事。そんでおしまい」
手羽先の羽をむしりながら、オレはそう釘を刺しておいた。
うーん、ちょっと面倒だ。これなら生の手羽の方じゃなくて、こんがり焼けていた胴体の方を持ってくればよかったな。
「で、早速だけど取り引きの話をしてもいい?」
「……構わん」
もっと反抗するかと思ったけど、魔導師はやけに素直な返事をした。
逆に気持ち悪い。
「あっそ。んじゃ、どうやって奉仕してもらおーかな」
「……感謝する」
「はァ?!」
予想外の言葉だった。
これはもう、気持ち悪いどころの話じゃない。
異常だ。
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