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「信頼もクソもねぇよ。だれが天然記念物の上級魔導師様なんかとヤリたがるかよ。そんなヨゴレ引き受けるのは、世界広しと言えども、てめーだけだろ」
「ははっ、オレだってどうせヤルなら可愛い子とがいいなぁ」
「黙ってろ」
ニヤニヤとするジェイとは対照的に、バーテンは眉を寄せた。
バーテンの突如の変貌ぶりに、ジェイは動じる様子もない。
「で、今日は何か報告あんの?」
「まぁな。その依頼の件だ」
バーテンは胸元から黒革の手帳を取り出すと、ボソボソと何かを呟き始めた。
それは誰かに聞かせるためではなく、自分に語り掛ける程度の声量だったが、ジェイの耳には届いているのか、ニヤニヤしながら頷く。
「イストルランド王妃直属近衛兵隊長、トリノ・トレシャクス、43歳。妻子は無く、齢80になる母と二人暮らし。大戦の英雄と呼ばれ、剣の腕は上の中。魔法耐性なし、魔法も使えない」
ジェイはニヤニヤしながら、グラスを傾ける。
「ホント、サリヴァンてば相変わらずひどいストーカーっぷり」
「仕事熱心と言え……イストルランドのレンガ職人の次男。性格は気が強く、自由奔放で直情型。一見温厚だがそれは顔だけ、大戦の時はだいぶ暴れたようだな。時には違法な取り引きもしたらしい。そこらへんはお前の方が詳しいだろ」
「まーね」
ここからが本題だが、と、サリヴァンは小さく咳払いをした。
テーブル席に突っ伏して眠っている老人を確認するが、老人は幸せそうにイビキをかいていた。
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